あすなろネコ避妊手術 [病気]
こんにちは。
久しぶりのブログの更新になります。
ここ最近、あすなろネコさんの不妊手術が続いています。
これは福岡県の事業の一つです。
ここから手術の様子をお見せしますので、血が苦手な方はご遠慮ください。
当院ではシーリングシステムを使っているので、糸を使わずに血管を結紮することができます。
また手術の時間も短縮することができます。
ネコさんの卵巣子宮はこのようにY字型になっています。
根元は糸を使って結紮します。
あとは、溶ける糸を使ってお腹の中を縫合していくだけです。
正味40分弱の手術となります。
当院ではあすなろネコさんの不妊手術の場合、検査を行いません。
そのため麻酔のリスクが分かりません。
もしかしたら、かなりハイリスクなのかもしれません。
ですが、不幸な仔ネコさんが生まれないためにも有効な手術かとは思います。
レッグ・ペルテス病 [病気]
こんばんわ。
最近は病気に関しての紹介がなかったので、ここ最近の症例をご報告します。
じつは7月に入ってから、季節の影響もあるかもしれませんが、
病気のワンコやネコさんを連れてくる方が増えてきました。
少しでも多くの方に病気について理解して頂きたいので、
このブログにてご紹介していきます。
まずは、他院にて疼痛管理の治療を受けておられましたが、
なかなか治らないということで転院されてきた方のワンコです。
疼痛管理を1ヶ月以上行っても改善がないとすれば、よっぽどのことです。
レントゲンを撮影したところ、
赤丸で囲んであるところ、ここが異常です。
じつはレッグペルテスという病気でした。
レッグペルテスは、日本名では無菌性大腿骨頭壊死です。
原因がハッキリしていません。
しかし、生後1才未満で起こることが多いです。
このワンコも10カ月のヨーキーでした。
治療は外科的治療でして、赤丸で囲んである大腿骨頭を切除します。
たとえこれを切除しても、しばらくはビッコが続きますが、
将来は普通に歩けるようになることが多いです。
このワンコも歩けるようになれればいいな、と願っています。
ズーノーシス [病気]
今日のお昼に狂犬病予防注射済み票の手続きのため、南区の保健所に行きました。
そのときに貼ってあったポスターがズーノーシス。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、大事なことです。
寄生虫の専門医の話によると、
一般家庭で飼育されているワンコやネコでも内部寄生虫に感染していることがあるそうです。
しかも感染しているワンコやネコさんが意外に多いのだとか。
そのため、定期的なお腹の虫の駆除をお勧めします。
ワンコの場合、食べるフィラリア予防薬にはお腹の虫を駆除する成分が入っています。
ネコさんの場合は、滴下タイプの駆除剤があります。
詳しくは当院までお問い合わせください。
疥癬治療の続きです。 [病気]
先日、このブログでご紹介させていただいた疥癬治療中のワンコ。
治療の経過もよく、写真のようになりました。
まずは治療前の写真です。これは先日このブログでもアップしました。
あちこち発赤があり、とても痒そうです。
そして、疥癬の治療終了後の写真です。
毛もすっかり生えています。
この治療のヒントは、「ステロイドに反応しない」ということでした。
いずれにしろ、ここまで良くなってくれてよかったです。
疥癬 [病気]
ここ最近ブログの更新が滞っていたので、いまブログを立て続けに更新しています。
皮膚病の診察において、痒みを止めるためにステロイドを使用するのはスタンダードだと思います。
しかし、ときどき遭遇するのは、ステロイドに反応しない皮膚病です。
つまりステロイドを飲んでいるのに、痒みがとれないというのです。
ん?
ステロイドを使っても痒みがとれない?
そんなことってあるの?
僕の頭の中で、???となっています。
そんなとき、基本に戻ることが重要です。
その基本というのが、いわゆる寄生虫感染症です。
写真のワンコも、当初痒がるということで、ステロイドを使っても痒みが変わらないということでした。
あちこちが赤くなっており、とても痒そうです。
実際、夜も寝ている途中起きて痒がることがあるということでした。
ところが、先程の基本に戻ったところ、このように赤みが消えました。
さらに毛も生えてきています。
おそらく、このワンコは疥癬に罹患していたのだと思います。
なぜ断定が出来ないのか。
なぜならば、数匹の疥癬が痒みを引き起こすので、検査が困難なのです。
ではどうするか?
答えは簡単で、疥癬を駆除するお薬を使うのです。
そして反応すれば疥癬ということになります。
僕たちはこのような処置を診断的治療と言います。
現在もこのワンコは治療中ですが症状も改善されており、
僕もホッとしました。
寄生虫感染。
先日のニキビダニ症もそうですが、あなどれません。
ネコさんの不妊手術 [病気]
このブログでもたびたび紹介させて頂いておりますが、
先日ネコさんの不妊手術を行いましたので、ご紹介します。
ネコさんは生後半年で性成熟を迎えます。
そのあと発情行動が見られます。
こういった発情行動を抑えるには、不妊手術がベストです。
ただ不妊手術は麻酔処置になるので、その麻酔に関しては慎重に対応しなければなりません。
幸いにも、不妊手術において麻酔事故というのは、今のところありません。
当院はこのようにリガシュアーを用いて手術を行うので、
使用する結紮糸をなるべく少なくしています。
ネコさんの場合、今のところ結紮糸によるアレルギーは報告されていませんが、
当院では手術時間の短縮にもなるので、使用しています。
不妊手術に関しての問い合わせに関しては、当院までご連絡ください。
ニキビダニ症 [病気]
赤丸で囲んでいるもの。
これがニキビダニです。
たびたびこのブログでも紹介させていただいておりますが、
ニキビダニ症のワンコの治療は、若いときに罹患する場合と年をとって罹患する場合では、
治療方法が変わってきます。
当院では、若いときのニキビダニ症は完治することがほとんどだけど、年をとって罹患した場合は、
なかなか治りづらいですよ。というお話をします。
なぜならば、体の免疫と絡んでいるからです。
若いときであればこれから免疫がしっかりしてくるので、ニキビダニが悪さをしないような環境が出来てきますが、
年をとったワンコの場合だと免疫がさらに落ちてくるので、ニキビダニにとっては好都合な環境となるのです。
当院においては、最近ニキビダニの治療においてはドラメクチンを使用しています。
以前はイベルメクチンを使用していましたが、ドラメクチンだと1週間に1回のお注射で4回通院していただくと、
症状が改善されます。
もちろん、年をとったワンコの場合は、先程お話しした免疫の関係で4回の通院が終わったあとでも、
月1回の診察をお願いしております。
診断方法は、毛を抜いて顕微鏡で見るだけですが、
やっかいなのは、ニキビダニが毛穴の奥に潜り込んでいる場合です。
そのときは皮膚のバイオプシー検査が必要になります。
当院はステロイドを使っても皮膚病の改善が見られない場合、ニキビダニ症を疑いつつ治療しています。
週末はお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。 [病気]
3月も中旬に入り、日中は暖かくなってきました。
でもまだまだ寒暖の差は激しいようで、体調管理には気をつけていきたいものです。
そんな中、当院では赤ちゃんネコに強制給餌と、酸素を鼻カテーテルを使って送ったりして治療をしていました。
赤ちゃんネコは自分でおっぱいを飲む元気がない場合があります。
そんなときは、栄養カテーテルチューブを使って経口投与を行うのですが、
やはり母乳の力には勝てずに亡くなってしまうこともあります。
また、赤ちゃんネコにミルクをあげていると、誤嚥性肺炎を起こしてしまうこともあります。
その際はレントゲン撮影を行い症状を確認し、写真のように酸素吸入をしてあげなければなりません。
当院でも飼い主様がすぐに赤ちゃんネコを連れてきてくれたので、
迅速な対応が出来ました。
なんとか頑張って欲しいです。
潜在精巣 [病気]
こんにちは。
今日から二月になりました。
外は、気温も上がり気持ちのいい天気です。
ただ、夜からまた天気は下り坂のこと。
また寒くなるのかもしれませんね。
今日は、潜在精巣についてお話しします。
男の子ワンコは、生後6ヶ月くらいには陰嚢の中に精巣が降りていることを確認することが出来ます。
ただ中には精巣がお腹の中にとどまっていることもあります。
これを潜在精巣あるいは陰睾といいます。
そして、精巣腫瘍の可能性が将来高くなるのも潜在精巣の特徴です。
そのため生後6ヶ月以降、精巣が降りていないことを確認した際は、
なるべく早めに手術をしてあげましょう。
下に手術の写真を載せましたので、血を見ることが苦手な方はこれから先ご遠慮ください。
丸で囲んでいるのが、お腹の中に隠れていた精巣です。
陰嚢に入った精巣に比べれば、サイズも小さいですね。
これが将来腫瘍化するので、本当に侮れません。
手術に関しては麻酔処置になりますので、獣医師とご相談しましょう。
甲状腺癌 [病気]
今日はまじめなお話です。
年末に、定期的に来院してくれたワンコの頚を触ると、鷄の卵より一回り小さいしこりがありました。
じつはそのワンコはビーグルさんだったので、かねてより頚のあたりの触診は注意していました。
というのも、ビーグルさんは9−11才になると甲状腺腫瘍が発症しやすくなるからです。
ただ甲状腺腫瘍は、悪性腫瘍の1.2−3.8%と割合としては少数派なのです。
ですので、リンパ腫のようによく見られる病気ではありません。
ですが、この腫瘍を見落とすと手術も不適応、そして腫瘍が気管を圧迫して呼吸困難になるので、
早期発見早期治療が大事となります。
今回は定期的に来院してくれていたので、すぐに治療ができました。
これから先は手術の写真となりますので、ご了承ください。
もしそういった写真でも平気な方は、下へスクロールしてください。
甲状腺腫瘍の周りには、血管と神経が絡んでいますので、
このように滅菌した綿棒でゆっくり着実に剥離していきます。
ちなみに綿棒の先に見えるのは反回神経というものです。
そして最後にリガシュアで甲状腺と体をつないでいる太い血管をシーリングします。
あとは縫合して終了です。
このように早期の甲状腺癌の手術はスムーズにできますが、
実際は発見が遅れることがあるので、手術不適応の場合が多いようです。
10才過ぎたビーグルさんを飼っておられる飼い主様、
ぜひかかりつけの先生のところで、定期健診をうけましょう。