腹腔内腫瘍 [病気]
早いものでもう3月に入りました。
来月からは狂犬病予防シーズンに入ります。
ところで、2月末はすこし頭を悩ませることがありました。
それは腹部塊状病変。
僕が獣医師に成り立ての頃は、エコーがそんなに発達していませんでしたが、
この10年エコーの技術レベルがぐっと上がり、
いろいろなことが分かってきました。
とくに開院する前、福岡で勤務させていただいた病院は、
エコーを聴診器のように診察で使われていたので、
すごく勉強になりました。
そのため当院でもエコー検査は、通常診療において必須となっております。
そんな中、黄疸がひどいネコさんと、食欲不振のわんこが来院しました。
おそらくエコーがまだ発達していない頃だったら、
うーん年齢も高齢だし、とか原因ははっきり分かりません。
という説明しか出来なかったのかもしれませんが、
いまはエコーではっきりお腹の中を見ることが出来るので、
2匹とも腹部の中の腫瘍という診断ができました。
ただ問題は治療です。
本来ならば治療としては外科的な治療が必要だと思うのですが、
なにしろ、2匹とも全身状態が悪くすぐ手術というわけにはいかないのです。
ネコさんのほうは黄疸が進んでしまい、手術が出来る状態ではなくなりました。
わんこのほうは、なんとか手術の日程を組ませていただいたのですが、
飼い主さまの都合でキャンセルになってしまいました。
結果的にはネコさんもわんこも助けてあげることが出来ませんでした。
とくにわんこは、もう1週間もごはんを食べてくれていません。
今後どう状態が悪化していくか心配です。
やはり高齢のわんこやネコさんは、腫瘍の発生率が高くなります。
とくに体の中の腫瘍だと発見が遅くなりがちです。
定期的な通院と健康診断が本当に必要だなと痛感した2月でした。
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